泣き虫少女のKISEKI

一人だけ何も出来なかった
ここから始まるストーリー


歌もdanceも未経験。
覚えも他の事と比べても一目瞭然の遅さ。
どんなに努力しても一人だけ浮いてしまう存在感。
偽大阪人とも呼ばれ、どん底街道まっしぐら。
底辺。まさにかななんが居たのは、そんな場所だったに違いない。
希望の光すら届かない、深海の奥深くに彼女はただ呆然と立ちすくむしかなかった。


しかし月日が経つのは変わらない。
でも、ただ時間が経過しただけではなかった。
変化しない事象もあるけど、その中で明らかに変化、進化したものがある。
それが今の、いや今までの中西香菜である。
たった1年そこいらで、人ってこんなにも成長出来るんだと、その身をもって証明してくれた。
こんなに説得力のある証が他にあるだろうか?
無論、そんなものは皆無。愚問に過ぎない。


何なのこの子。こんなに立派になりやがって。
正直嫉妬。でもそんな事考えていた自分にお灸をすえてやりたい。
「ありがとう」なんて言わない。「有難う」だ。
君がそれを言うと、その言葉の意味を、神髄をまがまがと思い知らされる。
ここまで四苦八苦して来た君の道のりが、全ての答えに完膚なきまでの理由で諭してくれる。
過去流した数多くの涙は、ちゃんと君の糧になってる。
だからこそ、ステージ上での君はとてもとても輝いていて、また頼もしいのではないだろうか。