過去のBerryz工房に想う事

Berryz工房が「あなたなしでは生きてゆけない」でメジャーデビューをしてから、およそ5年が過ぎました。
そもそも自分はその頃、モーニング娘。のファンだったので、みんなの事はそこまで注目していた訳ではありません。
一応、同じHello!Projectの仲間だったから、知っておこう、その程度の想いしかありませんでした。
でもそれは、ある意味、自分がみんなの事を好きになる上で非常に重要な要素だったのかも知れません。
何故なら、人は時として、思いもよらない(予想だにしない)事で、驚かされるからです。
思ってもみない所で惹かれ、そしてのめり込んで行く生き物なのです。
自分はそういう面では、本当に典型的な人間かも知れません。
今は、心からそう実感しています。


初めてみんなの存在を知ったのは、デビューから少し遡ります。
今は無き、ハロプロの深夜枠「よろしくセンパイ」で、みんなのデビューまでの軌跡が放送されていました。
その内容は、娘。で言う所の「ASAYAN」みたいな、所謂ドキュメンタリー番組。
デビューを目指す、小さな女の子達8人の姿。
そのレッスン風景。
先生に厳しく指導される、か弱く健気な8人のメンバー。
一人前のプロとして、しっかりとステージに立つ事を目標に、彼女達は必死でした。
実際見ているこちら側としても、それはあまりに容易に見れる内容ではありませんでした。
表向きは華やかなイメージのあるアイドルですが、今まさにそこで奮闘しているみんなは、そんな輝かしい存在には見えなかった。
それもそのはず、彼女達は、元々ごくありふれた平凡な少女達だったのですから。
何万人もの激戦を潜り抜け、見事合格した15人の内8名。
彼女達は、その時点ではただの原石でしかありませんでした。
何の輝きも放っていない、放って置けば、何者にも生まれ変わる事の無い、言わば石ころ。
ただ、「よろセン」でのみんなは何かに夢中になっていました。
それは8人でデビューする事だと当時は思っていましたが、でも今考えてみると、それだけではなかったのかな。
何かにとりつかれているかのように、一人ひとりが必死でした。


初めてBerryz工房を感じる事が出来たのは、忘れもしない2oo5年の夏。
よみうりランド オープンシアターEASTにて行なわれた「21時までのシンデレラ」発売記念イベント。
炎天下の中、過酷な状況の中、8人はおよそ3000人のファンと握手をしました。
そこで見たみんなも、あの緊迫した空間の中で、必死に頑張っている姿と全く同じでした。
とうに限界を通り越しているはずなのに、それでも引きつった笑顔で答えていました。
その時、この子達は本気なんだなって感じました。
そして、それと同時にみんなの事をもっと良く知りたいと思い始めました。
握手をして気分良くしていた訳ではありません。
自分らファンに対して、ここまで必死に頑張っている8人が、その当時の自分にはとてもカッコ良く写ったのです。
それは今でも同じ。
可愛いともてはやされているだけじゃなかった。
実際現場に行って1番に感じる事は、みんながとてもカッコ良いと言う事。
こうして自分は確実にBerryz工房と言う名の、永遠にも近い距離の階段を登り始めたのです。


ライブに行くと、みんなの成長が手に取るように分かります。
デビュー当初、11.75歳の平均年齢だったみんなです。
彼女達が歩む道は、まさに彼女達にとって、青春の1ページ。
また、それは自分にも同じ事が言えます。
彼女達の成長を見届ける事が、自分にとっては青春の1ページであり、かつ喜びなのです。
時には、あまりに多忙なスケジュールに心配したりもしましたが、でもそれ以上に彼女達に励まされている自分がいた。
心配する反面、それを辞めてもらいたくないと言う葛藤が常にありました。
その中で自分なりに答えを出したのが「本気で応援する」と言う事。
自分みたいな、しがない一ファンが、何をごねたって、所詮意味のない事。
それなら現実を受け入れるしか、残されていないのです。
そう考えるようになってから、今まで自分はみんなから数多くのものをもらったのに、自分はまるで何もしていない事に気が付きます。
Berryz工房のファンと言う事で初めて悩んだ出来事です。
そんな時、当時一番好きだった佐紀ちゃんの言葉が頭に入ってきました。
「ライブが大好き」
凄く納得しました。
何故なら自分は、ライブでのみんなを一番良く見て来たからです。
間接的に見るテレビや、ラジオでは味わえない空間、それがライブ。
そこでのみんなを、自分は1番見て来た訳だから、これが真実の言葉だとすぐに分かりました。
それを境に、自分は現場主義派へと変わって行きます。
現場でみんなの事を本気で応援する事こそ、自分にとってのファンスタイルであり、またみんなへの最大級の想いなのです。
こうして、自分の軌跡が紡がれ始めました。


ライブに行く度に、みんなは成長し続け、また魅力を放っていました。
初めて知った頃は、まだ輝きも無い、ただの石ころだったはずなのに、たった数年でみんなはダイヤモンドにも勝るとも劣らない、抜群の輝きを帯びていた。
人って、必死に頑張れば、こんなにも変わる事が出来るのだなと思いました。
だって現実に、目の前にその証拠があるんですから。
現場に行って、一番に感じた事、それは人は変われると言う事。
無論、自分が望むべき存在になれない事の方が多いのかも知れません。
それでも、人は変われる。良くも悪くも。
それは可能性の話。
でも何もしないで、ただ自分が存在するだけよりも、何か行動を起こして、自分が今まで以上の存在になれるのだと言うなら、自分は後者を選びます。
新しい自分を見つけ出したい。
次第にその想いは強く、そして確実に自分に影響していきました。
その結果、自分は一旦現場を離れる決意をしたのです。
新しい価値観を求めて、自分探しの旅に出かけました。


およそ半年の間、みんなに逢いませんでした。
その間、みんなの事を想う事はあったけれど、でも全然寂しくはなかった。
何故なら、それは今までの自分の経験が教えてくれていたからです。
みんなはどんなに辛い事があっても、必ず笑顔でステージに立ちます。
それはアイドルだから当たり前なのかも知れませんが、でも自分は、みんなの想いが直に伝わる空間・ライブでそれを感じているので、疑う余地などありません。
心無い人の卑劣な行為にも、例え大事な仲間を失っても、彼女達は何ら変わる事はありません。
ずっと見てきたから分かります、いえ感じる事が出来るのです。
みんなはただ真っすぐに、前を向いて、走り続けて行くのです。
それを十二分に、自分のこれまでの軌跡から知っていたので、自分は安心して離れる事が出来ました。
一通の手紙に、それを記すだけで。


再会したのは2007年秋。
丁度、みんなにとって予期せぬ噂が流れ始めた頃です。
アイドルが故のスキャンダル。
宿命なのかも知れません。
ある意味、アイドルを続けると言う事は、いかにファンを裏切らないかと言う事なのかも知れません。
ただファンと言う存在は一概にこれだと言えるものではありません。
一筋縄でいかない者が多々います。
人それぞれの事情があり、またその数だけ多くの価値観もあります。
十人十色、まさに得体の知れない存在なのです。
だからこそ、すべてのファンに、平等にするのは、殆ど神がかり的な事。
人々から愛される存在になるには、きっと活動を続けている時点では無理なのでしょう。
大切な人がいなくなって初めて、その存在を愛しく思う事と同様に、きっとBerryz工房と言う存在が消えて無くなり、また伝説として語り継がれる頃、漸く、その価値を見出し始めるのかも知れません。
たった半年の間、自分磨きの為に旅に出ていたけど、今はとても意味ある事だったと思っています。
今までみんなの事を直線的な目でしか見ていなかったけれど、今はある意味客観的な思考で捉える事が出来ました。
ただみんなの事を見るだけではなく、そこにプラスアルファの要素も含める事の出来る考え方。
そんな自分でみんなの事を観た時、また以前とは違った感覚がありました。
普通なら懐かしいと感じる場面でも、どこか新鮮な目でみんなの事を見ていたのです。
何年も何十年も間を開けていた訳ではないのに、久しぶりに見るみんなは明らかに違っていた。
たった1年も満たないその時間の中で、彼女達はまだまだ衰えぬ勢いで、成長、いえ進化していたのです。
でも、不思議と驚きはしませんでした。
何故なら、今までのみんなを良く理解していたからです。
ただ真っすぐに、ひたすら突っ走って来たみんなを知っていた。
凄く安心しました。
その頃から、少しずつではありましたが、Berryzファンとしての自分を見つめなおし始めたのです。
自分がみんなを応援する意味。
みんなが自分を必要としているかどうか、とか。