Juice=Juice 2nd シングル「イジワルしないで抱きしめてよ・初めてを経験中」感想

「俺たちのライナーノーツ」vol.5


<イジワルしないで抱きしめてよ>
前作がまさかのオリコン2位を獲得したJ=J。
これからの活躍に誰もが期待を抱く中
これまたまさかの宮本の足の負傷。
レコーディングに関しては問題無かったとは言え
イベントでのパフォーマンスにおいて
決定的な穴を開けてしまったのは
メンバーそれぞれもそうだし、
何より怪我をした当の本人が
1番悔しかったし、またその分の責任を
追う羽目になったであろう。


正規のM.V.ではモーニング娘。から
急遽抜擢された石田亜佑美がレンタルされた。
Dance Shot Versionでは何とか復帰出来た*1は良いけれど
突然のハプニングで受けた痛手は
彼女達にとっては小さな出来事では無かった筈だ。
そういう事情を考慮した上で見返してみると
改めて色々な物事を発見するに至るかも知れない。


この曲で1番その歌声を開花させているのは
金澤朋子その人だ。
今現在の彼女の歌声はおそらくこの頃から
そのイメージを作り上げて来たのだと思う。
色気のある自信溢れる声は
J=Jの楽曲(もしくは世界観)に深みを与えている。
大塚の自主脱退でパート割が増えた彼女が
ここに来てようやく本領を発揮した。
そんな印象がどこかにある。


パフォーマンスにおいて経験不足と言う面は否定出来ない。
ただそれを補うだけの余りある才能が
彼女は持ち合わせていると感じるし、
またそれが今の彼女の魅力である事は
疑う事無い事実なのだと自分は思っている。



<初めてを経験中>
今までマイナーな大人っぽい楽曲が多かった彼女達。
そう言うイメージが定着して来たからこそ
この歌の重要性が高まる気がする。
そして確信を持って言えるのは
今までその個性や存在が見え隠れしていた
宮崎、植村の魅力を十分発揮した作品であると言う点だ。


歌のパートも今まで以上に多く貰っているだけに留まらず
しっかりとした個性がぎっしり詰まった歌声を
ちゃんと披露しそれを確実にアピール出来ている事実。
この歌での2人の歌唱には
とても安定感があり、また新鮮な気持ちにもしてくれる。
まるで歌の世界観が彼女達2人の得意とする声質に
合わせているかのような錯覚さえ感じる。
J=Jは宮本・高木・金澤のワンマンユニットでは無い
と言う決定的な解答を提示した作品であると
自分は勝手ながら考えている。


またダンス、いや、その振り付けにも
注目してもらいたい楽曲である事を覚えてもらいたい。
これはDance Shot Versionだけでは無く
実際に現場に赴いて感じた私的感情だ。
ゆったりとしたメロディに逆らって
その振り付けにはその印象を覆す程に
しっかりとしたスピード感がある。
激しいとまでは行かないにしても
なかなかアグレッシブなイメージを与えてくれる。
彼女達の心情に呼応するかのようなダンスは
あたかもまったりとした音に対して
反抗するかのような錯覚まで引き起こす。
5人もそれぞれに懸命にやるものだから
どうしてもそんな事を連想させてしまうのかも。


そして改めてM.V.を見た今
1つどうしても気になる事柄が出て来た。
それは2番の歌詞「怒られるの覚悟の上で」で
高木がVサインをするのだ。
どう考えても矛盾している振りだ。
しかも満面の笑みで。
でも返ってそういう部分がある事で
印象深くなったりしているのも事実。
世の中そんなものなのだとも思う。



まとめる。
このシングル1つでJ=Jは新たな境地に
踏み込んだのだと感じる。
宮本、高木は勿論の事
金澤、宮崎、植村の3人も
徐々にその個性の頭角を現し
そのユニットとしてのレベルが
決して低くない事を印象づけた。
現時点で彼女達はまだ最高峰のパフォーマーだとは
どうあっても言えない現状であったとしても
その一歩を確実に歩み進めている
準備段階であることは確かであろう。


発展途上ならぬ発展途嬢。
まさに彼女達のキャッチコピーにふさわしいと
思わないだろうか。

*1:もしかしたらこの認識は誤っているかも知れないけれど