Juice=Juice 1st シングル「ロマンスの途中・私が言う前に抱きしめなきゃね(MEMORIAL EDIT)・五月雨美女がさ乱れる(MEMORIAL EDIT)」感想

「俺たちのライナーノーツ」vol.4


インディーズでの映像を改めて見返してみて
気が付いた事がある。
それはただ単に自分がそう感じている
もしくは、そうであって欲しいと願っているだけ
なのかも知れないが、
1st 2nd 3rdと一貫して言えるのは
宮本佳林と言うある種の絶対的なイメージに比例する程
彼女の存在が全面に押し出されていない点だ。
勿論、歌に関してもダンスに関しても
現時点での評価はまだまだ発展途上だと言う事実は
他のメンバーにも言えるし、また彼女も例外ではない。
それでもこのJuice=Juiceと言うユニットを語る上で
彼女の存在を無視する事は到底出来る筈も無い。
もっと言ってしまえば
彼女が居るからこそのJ=Jであり
ユニットの顔であると結論づける事が可能だろう。


今までの曲での彼女は
別にそこまで目立っていないと言う訳では無い。
大塚・高木と肩を並べる程度の活躍はしていた。
でも個人的にはそれが勿体無いと言うか
どこか違和感すら覚える現象のような気がしてならない。
彼女の夢に賭ける並々ならぬ情熱は
選抜された直後に本人の口から語られている。
やっとの想いで手にしたチャンスを喜ぶ一面も覗かせたが
それ以上に今まで応援して来てくれた
ファンに対する恩返しの念の方が遙かに大きいのだ。
きっと一心不乱に今まで以上の努力を惜しまなかっただろう。
生で彼女のパフォーマンスを観ていれば
それは確信へと変わる。


そんな彼女のインディーズ時代。
彼女ありきのユニットなのに
そこまでスポットライトを独占出来ていない事実。
当時自分はそこまで気にしていなかったのだが
今こうして振り返ると
その原因みたいなものが何となく分かる気がする。


大塚愛菜の脱退。


2ndでの彼女はそれはそれは強い存在感を放っている。
そこまで熱心に応援していた時期では無かった自分でも
あの頃の五月雨での第一印象は
やっぱり彼女であった事は確かだし、
今でもそれは揺るぎ無い想いとして
この胸を熱くそして強く焦がしている。
正直、インディーズ時代は彼女と宮本佳林
最大のライバルとして捉えている。
それだけ2人の存在感と言うものは拮抗していたと思う。
無論、高木紗友希も無視は出来ないが。


そしてメジャーデビューして状況は急激に変化した。
これまで本来の活躍を遺憾なく発揮出来ずにいた宮本が
ここに来て遂にその本領を発揮し始めた。
J=Jのエースとしての威厳をようやく手に入れた。
ファンへのその想いを剥き出しにした
ある種、完璧と言える程の絶対的存在感を
アピール出来ているのが
このロマンスの途中だと思う。
言わば、この曲は彼女ありきの歌だとも言えるし
そう思えてしょうがない。


個人的に感じるのは
最大のライバルである大塚が居なくなったから
その分、自分がより目立てるようになったと
言う感じでは無い。
そう考えていた時期もあるにはあったが
これまでにあったある出来事を含めて考えると
どうもしっくり来ないのだ。
それは「天まで登れ!」のリリースイベントでの事。
サプライズでメジャーデビューが決まった時
宮本が感極まっているのに対して
そっと手を差し伸べる大塚の後ろ姿があった。
「大丈夫、安心して、落ち着いて」と言わんばかりの
その優しさと強さが自分の中で心に残った。
その矢先に彼女は姿を消した。
そしてメジャーデビュー。


推測でしかないけれど
宮本は大塚の意志を受け継いでいるのではないかと思う。
一緒に夢を追いかけられなかった彼女の分まで
今自分に出来る事を勇敢にこなしているのではないか。
そこにはライバル心もあるだろう。
歩んでいる道は異なっていたとしても
自分の信念で夢を追いかけていると言う面では
どちらも同じ。
だから負けたくない。
自分の為にもそして彼女の為にも
全力でなければならない。
そういう想いがこの歌からは感じられる。
他のメンバーも宮本以上では無いにしても
そうであったに違いない。
そう信じたい。


「ロマンスの途中」以外の2曲を見てみると
かつてそこに確かに存在した筈の彼女が居ない代わりに
その分、残ったメンバーが必死でパフォーマンスする
姿が垣間見える。
ただ単に、居なくなった大塚のパートを
他のメンバーがそれぞれ担当している穴埋め的な
考え方も出来るだろう。
でも自分にはそうは見えないのだ。


何も感じなかった訳が無い。
一緒にメジャーデビューして共に苦しみ共に喜びを
分かちあえた筈だったのだ。
でもそれが叶わなかった。
しかもそれが本人が決めた決心だったのだから
ただただ受け入れる事しか出来なかった。
そんな中で彼女の為に出来る事と言えば
もぅこれしかないだろう。
今の自分達が全力でJ=Jとして活躍する事。
それが唯一の彼女への手向けであったと思う。


世間一般的に浸透しやすいメロディーと
言う部分もあるにはあるのだろうけれども、
この3曲にはそういった彼女達の等身大の想い
というのが詰まっている気がする。
だからこそのオリコン2位と言う結果を出せたと思うし
自分もこんな風に感じているのではないかと考察する。