Ricka<佐々木莉佳子>vol.1

ライブ中、殆ど彼女を追いかけていました。


気にせずにはいられない。
あの元気溌剌とした姿を。
見逃す事が出来ない。
漲り続ける情熱を。
忘れられない。
その小さな身体から溢れ出した閃光の如き輝きを。


自分の瞳にはこう映ります。


まるで太陽のような、何処に居ても分かってしまう、その存在感。
ダンスは特別上手い訳じゃない、と、思う・・・。
"技術的"な事は良く分からない。
彼女のそれはそう言うのでは無くて、とても、とっても"情熱的"なのです。


彼女にとって生きると言う事は、ただ平凡に生活している人々とは意味が違うのだと思います。
そのパフォーマンスには、自身が今現在"生きて居る"事への証明の裏付けをしているように感じます。
活き活きとしている、と言った言葉がふさわしいか、自分には分からないけれど、多分そういう類のものでしょう。


分かり易く言えば、とても元気な、とっても元気過ぎるダンス。
自分にはこんな風に見えています。
彼女はそこに生きる喜びを噛みしめている気がします。
今自分がここに存在しているという事に、人一倍幸せを感じている・・・
そんな気がしてならないのです。


でも恐らくそれだけでは無いと考えます。
それだけ大きな幸福を感じるには、それ相応の対価が必要なのだと思っています。
人が幸せだと感じられるのは、
その環境や状況、または境遇や運命等に大きく影響されますが、
時と場合と考え方によっては、それ程、難しい事では無い可能性も十分考えられるでしょう。


悲しみ、孤独、絶望、虚しさ、やるせなさ。
大事なものを失うと、人が如何に脆く儚い存在か思い知らされます。
どうしようもない程の闇に飲み込まれてしまう。
そこはとても深く、そして周りには何も無い・存在しない唯一つの世界。
ただ呆然と立ち尽くす事しか叶わない、そんな場所・空間。


そんな状況下でも、最悪に近い環境でも、
人生と言うものには、必ずかどうかは定かではありませんが、
一筋の光・希望がある筈です。
自分の短い人生の中でも、そういった類の希望や、奇跡的な事柄はありました。


彼女は経験していたのかもしれません。
自身にとって限りなく絶望的な物語を。
彼女は知っているかもしれません。
そこから希望を見出す術を。


悲しみを乗り越えたからこそ、本当の意味での幸せを手にする事が出来た。
「幸福」の言葉の意味を肌で感じている、知っているからこそ、
生まれて来た事への感謝や、こうして幸せでいる事への喜びを、
人一倍実感している、ような気がします。


これは自分が勝手に想像した、言わば想像上の話。
妄想の域を脱せずにいる、おとぎ話と何ら変わらないのかもしれない。
でも、根拠はあるし、それなりの証拠もあるには有る。
頭がおかしいのかもしれない。
一般的に言えば、脳が正常に働いていないのかもしれない。
ある意味それは間違いではないでしょう。
でも必ずしも、それが正しい解答とは言い難く、
例え正解だったとしても、それを立証する事は不可能に近いでしょう。
だから、本当の答えは自分の中にしか無い、と考えてみる。
そう信じる事で、己の価値観を自分自身の中にあてはめる。


あの時観て記憶した姿、焼き付いてしまった表情。
その全てが鮮明に想い浮かびます。
きっと完全に忘れてしまったとしても、どこかでそれを否定して、
腑に落ちない感情が込み上げて来るかもしれないです。
この出逢いが、決して運命的だったとは言えないけれど、
それでも、こうして出逢えた事に感謝しない訳にはいきません。


有り難う。心からそう想う。




*1

*1:30過ぎたおっさんが、ここまで真剣に一人の少女を気にしているのは、異常な事なんだと思う。