名も無き日記no.3

市川利奈と言う地下アイドルの話をしようと思う。


自分が知ってる限り、彼女は元HAPPY STYLE Rookiesの一員で、幾人かいるメンバーの中ではそれ程目立った娘では無かった。
自分が何故、彼女を推すよぅになったかと言うと、ダンスも歌も圧倒的に他の娘と差が有り、また極限的に出番が少なくても、そんな事、気にもせずに懸命に頑張っている姿がとても印象的だったからだ。
いや、実際の所、気にはしていたのかも知れない。
それは本人に直接聞いてみないとなんとも言えないが…。


また、初めて握手した時に結構長く話したのだが、その時の事は今も強く心に残っている。
彼女はどんな境遇にも負けずに頑張っていたが、自分はそんな彼女の事を精一杯応援出来ていないと伝えると、こうやって見に来てくれているだけで嬉しいと満面の笑みを浮かべて自分に言うのだ。
今思い返してみると、そんな言葉はある意味普通なのだが、その時の自分にはまるで彼女が神か仏にでもなったかのごとくだった。
今まで握手会は何十回も経験して来たが、思い通りの結果にはならなかったし、それに近い事も有るには有ったが、その時程、自分の気持ちがストレートに伝わり、またその答えが返って来た事は無かったのだ。
それは自分にとって救いの言葉となった。


前述した通り、彼女は特に目立った長所が無い。
ただアニメが好きで、その延長線上にいるちょっと可愛い女の子と言った感じ。
ただ、ソロとしてステージに立ち始めてから徐々に、その歌唱力に磨きがかかって来た気がする。
いや厳密に言うと、歌唱力が上がったと言うより、隠れていた才能が眠りから覚め始めたと言ってた感じだ。
これは彼女の長所であるハスキーボイスが大きく関わっている。
普通の娘は通常1つの音階でしか歌わない。
例外も有るが、基本的には女の子が放つ俗に言う黄色い声の音階しか出さないのだ。
だが彼女は違う。
ハスキーボイス故の利点(と言うか特権)で通常よりも1つ下の音程まで歌声を下げる事が出来るのだ。
だから女性アーティストの歌は勿論、声の低い男性の歌でさえ難なくこなせてしまう。
もっと言うと、国内だけでは無く、海外ものまでカッコ良く歌いこなせてしまうのだ。
自分はそれにやられた。


市川利奈の魅力はどんなに将来が未知のものであっても、夢に向かってひた走るその姿勢と勇気、そして類い稀なるハスキーボイスから発せられる歌声だと自分は確信している。